「SIerの仕事はつまらない」
この言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
私自身、エンジニアとしてのキャリアの多くをSIerで過ごしてきました。
そして正直に言えば、私も一時期はその考えに同意していました。
しかし、時間が経つにつれて、私の見方は大きく変わりました。
今では、SIerの仕事に楽しさと価値を見出しています。
なぜ私の認識が変わったのか、そしてSIerの仕事をより魅力的にするにはどうすればいいのか。
この記事では、私の経験を通じて、その答えを探っていきます。
SIerの仕事に対する一般的な不満:その実態は?
よく「SIerがつまらない」と言われる理由について、完全主観で語っていきたいと思います。
技術レベルが上がらない
これが言われる理由は、以下の2つがあるのかと思います。
- 扱う技術が古い。
- 担当する仕事の範囲が狭い。
まず1つ目の「扱う技術が古い」について。
これは、実際に私も経験しました。
特に金融系の案件に入っていたときです。
金融系は、システムの安定稼働が特に重要になってきます。
そのため、長年使われてナレッジが豊富な技術、サポートが充実している技術を選ぶことが多くなります。
(Xなどで見かける、モダンな技術とは対照的なことが多いです。)
「そんな古い技術よりもモダンな技術を使わないと、自分のスキルは伸びない!」
と私自身思ったこともあります。
ただ、「長年使われた技術&サポートが充実している技術」は、情報が充実しており実は勉強しやすかったりします。
また、ITスキルは1つの技術をしっかり学ぶことで応用が効くようになります。
「あぁ、この設定は、あれと似ているな。」
というように、新しい技術を見たときに格段に頭に入ってきやすいです。
2つ目、「担当する仕事の範囲が狭い」について。
SIerは、分業制がキッチリしています。
ネタみたいな感じで「ひたすら仕様書に従ってテストを行い、証跡の画面キャプチャをエクセルに貼っていく。」と言われることもあります(ちなみに私は、経験しました)。
分業体制がキッチリしているがゆえに、このようなことが起こることもあります。
ただ、それは自身のスキルレベルが影響していることも大きく関係してきます。
自分のスキルレベルが低いうちは、簡単な作業から入り、スキル上がっていくにつれ、難しいタスクを任されていく。
個人的には「徐々にレベルアップできる」とも感じました。
もちろん、「簡単な作業」の段階で挫折してく人も多いと思います。
「ずっと同じ作業をの繰り返し」が自分の仕事として定着していくと、もちろんスキルレベルは上がりません。
これは、SIerだけじゃなくてもあり得る話かとは思うのですが、分業体制がキッチリしているSIerで起こりやすいというのが個人的な感覚です。
ドキュメント作成が多い
多いです。私もドキュメントをたくさん作成してきました。
実際、コードを書いている時間よりもドキュメント作成をしている時間の方が多いと思います。
お客様に納品対象となるドキュメント、課題や進捗を管理するドキュメント、ナレッジなど多岐にわたります。
特に、納品対象となるドキュメントは、チーム内/プロジェクト全体など複数回レビューを行うこともあるため、緊張感があります。
今だと、SIerでもアジャイル開発を導入して、ドキュメントを少なくしよう試みている案件もあったりします。
ただ、ドキュメント作成が無くなることはないでしょう。
ここまで、ドキュメントの愚痴っぽくなりましたが、ドキュメントを作成するのにも技術や知識が必要です。
例えば、設計書。
要件をしっかり理解したうえで、今から構築するシステムや技術を深く理解しておかないと、設計書は書けません。
私自身、様々なプロジェクトでたくさんのドキュメントを見てきましたが、技術レベルが高い人、システム理解度が高い人が書いたドキュメントは隙が無く、丁寧に作成されている印象でした。
不満として挙げられやすい、ドキュメント作成ですが、私は必要だよなーと思います。
日程調整をするだけで疲弊する
これもあるあるだと思います。
SIerのプロジェクトでは、たくさんの人が関わり合いながら、開発が行なわれていきます。
そのため、打ち合わせをしようと思うと、調整先も多くなります。
キーパーソンは、忙しいことが多いです(色々な打ち合わせに引っ張りだこ)。
「いやいや、1週間前には依頼してもらわないと。」とかよくあります。
自分の作業が、「他チームと打ち合わせをして情報を得る必要がある」「他チームと合意を取って進める必要がある」等が予想される場合、この調整時間も見越したうえで、期日や工数を見積もらないと、後で痛い目に遭います。
「この作業どうなってる?」
「いや、まだ打ち合わせできてなくて。。。。」
こんな場面何度も見てきました。(もちろん、当事者になったこともあります。)
スケジュールが急に変更になる
これはプロジェクトマネージャーによるかもしれません。
スケジュールが遅れる場合ならいいのですが、早くなるパターンがキツい。来週の水曜期限だと思っていたタスクが、チーム間の調整の結果、今週中になった!とか、よく目にしました。
これで来週暇になるなら「まぁ、いいか」とまだ許せたりしますが、全体が早まる場合もあります。
SIerというよりは、ウォーターフォールの開発で起こりやすいです。
また、プロジェクトマネージャーやチームリーダーが原因のときもあります。
どうやったらSIerの仕事は面白くなる?
つまらない、つまらないと言っても始まらないので、逆の視点で。
「SIerの仕事を楽しみためには、どのように工夫すればいいのか?」
これについて、語っていきたいと思います。
「コミュニケーション」もスキルの1つとして捉える
「エンジニアたるもの技術が1番大事だから、コミュニケーションなんて二の次だ。」と思っていました。
平凡的なエンジニアな自分でさえ、このように思っていたので、同じように考えている人も多いのではないでしょうか?
ただ、「コミュニケーション」はとても大事。
実現したいことがあって、そのためには承認が必要。なんてことは、ざらにあります。
そのとき、伝え方によっては「まだ準備足りなくない?」「検証足りなくない?」「そもそも、そのやり方ではダメじゃない?」となることもあります。
コミュニケーションをスキルの1つとして捉えることで、SIerの仕事はより楽しくなります。
例えば、ある案件で新しい技術の導入を提案する際、技術的な説明だけでなく、 ビジネス面でのメリットを分かりやすく説明することで、 クライアントや上司の賛同を得やすくなります。
これにより、自分のアイデアが実現し、仕事の満足度が高まるのです。
たまに、全く知識がないのに、コミュニケーション能力1つで解決してしまう人もいたりします。「すげぇメンタルしてるなー」と思うと同時に、どうやってるの??って気になります。
今扱っている技術を深く理解し、応用力を養う
SIerで扱う技術は、一見すると古いものもあるかもしれません。
しかし、それらの技術にしっかり学ぶことで、とても価値があります。
- 技術の歴史と進化を学ぶ:
現在使用している技術がなぜ選ばれているのか、その歴史的背景を調べてみましょう。 - 基本原理の徹底理解:
使用している技術の基本原理をしっかり理解することで、新しい技術への応用力が養われます。 - 改善提案を行う:
現在の技術の制約や課題を理解した上で、改善案を考え、提案してみましょう。 - 個人プロジェクトでの活用:
業務で使用している技術を個人プロジェクトに応用し、より深い理解を得ましょう。
このようなアプローチを取ることで、「古い」技術であっても、その理解が他の最新技術の習得にも役立つことがわかるでしょう。
よくある話ではあるのですが、自分の経験からいっても、これはめちゃめちゃ感じます。
研修や制度がしっかりしている
SIerは大きな企業が多いです。また、人の入れ替わりが激しいこともあり、「誰でも同じ作業ができるようにする」という思想を強く感じます。
そのため、研修や仕事を進めるときの流れがしっかりしています。
- 研修が充実している
- いざ要件定義書や設計書を作成しようと思うと、ほぼほぼ前の案件の資料が使える。
- やるべきことが明確になっている
など。
未経験の場面に遭遇しても、以外にすんなりできちゃったりします。
ここは批判されることもあるのですが、メリットも大きいと感じます。
まとめ
「SIerは今後業界として廃れていく。」なんて言われることもあるかもしれません。
だからといって、今すぐに転職できる人ばかりでもないはず。
SIerは、多くの人が思っている以上に、学びと成長の機会に溢れています。
技術スキル、ビジネススキル、そしてコミュニケーションスキルを総合的に磨ける環境なのです。
ネガティブな先入観にとらわれず、積極的に機会を見出し、自己成長につなげていくことで、 SIerでのキャリアは驚くほど充実したものになるでしょう。
あなたも、SIerでの仕事に新たな可能性を見出してみませんか?
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